ピレネー山脈でヒグマ冬眠せず

スペインとフランスの国境にあたるピレネー山脈では、冬季気温が高い状態が続いているという。このために付近に生息するヒグマ数頭が通常の冬眠に入らず、餌探しをしていると専門家らが明らかにした。
今月、ピレネー山岳地帯のスペイン側、オートピレネー自然公園の作業員らは、岩場に設置された監視カメラの映像を見て驚いた。そこには1頭の母グマと3頭の子グマが、餌を探し回っている様子が映っていた。例年ならこの時期は巣穴で冬眠に入っているはずである。
スペイン・カタルーニャ自治州の生物多様性・動物保護部門を統括するサンティアゴ・パラゾン氏は、AFP(時事)の取材に対し現状が異常であることを語った。クマたちはその時点で少なくとも1週間は巣穴の外に出ていたという。
ヒグマは通常、11月の末頃に巣穴で冬眠を始め、4月になってからでないと外に出てこないという。雄はこの期間が短くなる場合もある。
しかしスペイン北東部のこの地域では、今年は気温が平均を5~6度上回る暖冬となっているため、ヒグマの習性が変化したと思われる。
パラゾン氏は「野山は望ましい状況で、地面には雪がほとんど積もっておらず、秋からのドングリがたくさん落ちていた。ドングリはまだクマたちが食べられる状態で、ドングリに釣られてクマたちは巣穴を出たのかもしれない」と話す。
ピレネー山脈の固有種のヒグマは、90年代に狩猟などが原因で絶滅の危機に直面した。96年に再導入の試みが初めて実施され、ヒグマの個体数が豊富なスロベニアから3頭が輸入されたこともあり、ピレネー山岳地帯には現在約40頭のヒグマが生息しているという。
スペインの環境保護NGO「ブラウンベアー・ファンデーション」のギジェルモ・パロメロ理事長は、AFPの取材に対し、この現象は雌グマにとって必ずしも有害であるわけではないと指摘した。授乳で多くのエネルギーを必要とする雌グマは、餌を食べてカロリーを補充することで、冬眠しないのを埋め合わせることができるのだそうだ。
パロメロ理事長は「だがこれは、気候変動がクマたちにとって有益であることを意味するわけではない」と指摘する。クマの餌になるドングリ、キイチゴ、ブナの実といった植物に気温上昇がどのような影響を及ぼす可能性があるのか。専門家らが現在調査を進めていると同理事長は続け、「この事態がクマたちにとって長期的に有益かどうかが今後判明する見通しだ」と語った。
日本では暖冬の反動か最近の冷え込みはつらいものがあるが、世界的にみるとやはり暖冬なのだろうか。