レーシック手術、なぜ件数激減?

近視などの眼の屈折異常に悩む人にとって、メガネなしの生活が送れるようになると人気のレーシック手術。米プロゴルファーのタイガー・ウッズや、伊サッカー・ACミランの本田圭佑選手ら国内外のアスリートが手術を受け、知名度が上がった。ところが、平成20年に約45万件だった手術件数が、なぜか26年には約5万件と減少しているそうだ。
レーシックは、近視、遠視、乱視など目の網膜にピントが合わず、画像がぼやける「屈折異常」を矯正するために行う手術。屈折異常を矯正する方法としては、他にメガネとコンタクトレンズがある。
手術は角膜にレーザーを照射して屈折を矯正するもの。手術自体はそれほど難しいものではなく、15分ほどで終わり、眼科の手術としてすでに確立された術式という。
日本では厚生労働省がエキシマレーザーを使用した屈折矯正手術を認可した平成12年から急速に普及した。慶応大学医学部眼科学教室の根岸准教授によると、症例数は12年の2万件から徐々に増加し、20年には45万件となったそうだ。しかし、21年から減りはじめ、26年は5万件で、20年の9分の1だという。
根岸准教授は「20年は手術件数が多いが、実は同年9月のリーマンショック以降に大幅に減っていた。レーシック手術は保険適応でなく、ある程度のお金がかかるだけに、減ったのは景気の影響ではないか」と指摘する。医療機関にもよるが、手術費用は堅めで十数万~30万円。確かに経済的な事情で手術をあきらめた人もいるかもしれない。
レーシックをめぐっては20年7月から21年1月の間に、東京都中央区にある眼科で手術を受けた患者の多数に角膜感染被害が発生。同年2月に同区の保健所が手術を受けた639人中67人が角膜感染症などとなり、うち2人が入院したと発表した。「レーシック集団感染事件」として知られ、同眼科の元院長が業務上過失傷害罪で禁固2年の判決が確定している。
同眼科の角膜感染の発症は、基本的な衛生管理を怠ったまま手術をしたことによるもので、レーシック手術自体の問題ではないそうだ。しかし、この事件が報じられたことで、「レーシック手術は危ない」と思った人も少なくないだろう。これが、手術離れにつながった可能性もあるという。
一方、日本眼科医会の高野会長は「メガネブームや、コンタクトレンズの性能が格段に良くなったこともレーシック手術減少の一因では」と推測している。今や「メガネ女子」「メガネっ娘」と呼ばれるように、メガネはおしゃれの必須アイテム。多彩な色やデザインによるフレームのメガネでおしゃれを楽しむ人は男女問わず多い。
レーシック手術の件数減少は屈折矯正をめぐるさまざまな事象が重なって起きたものと言える。手術を考えている人は、メリットとデメリットをしっかり把握し、信頼のおける医療機関を選ぶことが大切だ。